「蛇頭」、集団密航の女性を海へ落とし６人死亡 　【香港＝関泰晴】中国の女性２６人を小型船に乗せ、台湾に集団密航させようとした犯罪組織「蛇頭」の台湾人一味が２６日未明、巡視船から逃げようとして女性全員をボートから海に突き落とし、６人を死亡させる事件があった。台湾、香港メディアは、「非人道的犯罪」として大きく報道。台湾の陳水扁総統は「責任は、（蛇頭の取り締まりを怠る）中国政府にある」と非難している。 　報道によると、集団密航を図ったのは、１０代―２０代の中国人女性。浙江、吉林、湖北、四川各省、重慶市などの出身で、密航ビジネスを牛耳る蛇頭の手引きで福建省に入り、今月２４日に同省・;福州で２隻の漁船に乗りこんだ。途中で大型船に乗り換えて台湾海峡を横断。２６日未明、台湾・;台中市の沖合１０キロで、強力なエンジンを搭載した小型高速ボート２隻に乗り換えた。 　午前２時ごろ、高速ボートは、海岸線に近づいたところで、密航情報を事前に察知し、付近で待ち伏せしていた巡視船に発見された。蛇頭は、船を軽くし、少しでも速度を上げて逃げようとして、乗っていた女性を次々と海に突き落とした。大部分の女性は巡視船に助けられるなどして助かったものの、泳げなかった６人が死亡した。 　ボートに乗り込んで上陸を手引きしていた蛇頭の４人は、巡視船の追跡から逃げ切れず、結局逮捕された。４人はいずれも台湾人だった。中台の犯罪組織の連携がうかがえる。 　台湾を目指す中国人密航者の逮捕者数は、今年１―５月で８６５人に達し、ここ５年間で最高を記録した昨年の１８３３人を上回るペースで増えている。逮捕者のうち女性が８割以上を占め、密航後は売春などに従事するケースが半分を占めている。密航を図る女性の年齢は、１６―２０歳が２割を占め、若年化が進んでいる。 　摘発を逃れて台湾に入り込む中国人密航者は、毎年６０００人以上に達すると推定されている。中国人密航者が蛇頭に払う費用は、１人あたり５万元（約７０万円）前後といわれ、蛇頭の莫大（ばくだい）な収入源となっている。

祈祷！！